Muddy Waterの歌詞考察

先日公開されたMuddy Waterについて、主に歌詞の考察兼MVの考察を記録として残しておく。今後聴きこむにつれて解釈の仕方は変わってくるだろうけどひとまず。他にも考察したい歌詞が本当はあったけど永遠に上げられない気がするので取り急ぎメモとして。

・メインキャストはとみたけ、あおい、白服
(とみたけ→白服←あおい とも受け取れるしとみたけ→白服 あおい→白服 とも受け取れるので明記はせずに行く)
・勿論他のメンバーにもそれぞれの物語があるけれどとみたけ、あおいを視点として書かれている
まずはシャドキスからの繋がりを考えてみようと思う。シャドキスでは許されない恋をしていた。出会った時には既に相手(とみたけ側、あおい側、白服側、の3人のうちいずれか)には恋人がいた)引用:「昼はあの人に譲るからどうか夜だけは自由にさせて」
周りから許されるものでは無いと知りながらも気持ちを止められなかった。好きで好きで仕方がなかった。でも出会うのが遅すぎた。なぜならもう自分or白服には自分が現れなければ結ばれる予定だった相手がいた。それを知っていても止められなくて溺れてしまったし「叶うなら世界が今滅べばいい」とこのまま今がずっと続けばという思いだけで他のことなんてどうでもよかった。
「君を好きになるのが怖いと呟き眠る肌に身を寄せた。裏切られる痛みなら知ってる。この夜がまさにそうだから」ここはとみたけあおいサイドからも白服サイドからも受け取ることができる。好きになってはいけない人を好きになってしまったことを後悔しつつもそれを受け止めてでも燃え上がる気持ちが止まらなかった。それを最も表しているのが「貴方が望むなら地獄だっていい」という歌詞ではないだろうか。一緒に落ちていくのだって自分は構わないというくらいに心酔していた。

と、いった具合にいかに2人が熱く燃え上がっていたことを踏まえた上で続いてマディウォの歌詞を見ていく。
シャドキスはお互いがお互いだけを見つめていて例えるなら世界中が何を言ってきたとしてもそれは雑音にしかすぎず、全て聴こえないふりをして今ある2人の時間にただただ没頭するというイメージ。引用:「誰にも邪魔されない場所へ」「叶うなら世界が滅べばいい」
それがマディウォでは気がついた時には沼に落ちていてもう陽の当たる場所に立つことはできないほど深く暗いところまで落ちてきてしまっていて、動くことすらできない。暗い沼の底でお互いの姿を見つけることすらできずにどうすることもできず後悔の念を抱いてるというイメージ。引用:「君のいないこの世界で何を願うの?」
シャドキスでは「それでも太陽は昇った」という歌詞があったのにマディウォでは「二度と日が昇らなくていい」と言っている。この歌詞の変化からシャドキスからマディウォまでの時間の流れを感じることができる。

シャドキスの時点ではあれほど愛しあってはいるものの徐々に深く愛すれば愛するほど自分達は結ばれることはないと理解してしまうが、それでも溺れるようにお互いを求め合う恋愛に没頭していた。しかし次第に相手には自分ではなく結ばれるべき人がいること、その相手を捨てて自分のところに来い。幸せにする。と言える自信もなくついに不安に耐えられず途中で押しつぶされてしまった。このまま2人でいたらきっと傷つけてしまう。大好きで大切な人だからこそ自分といるべきではないとお互いの幸せを願って別れを告げてしてしまったところマディウォは始まる。
しかしそれを苦に思った白服は悩み苦しみ抜いた末に自殺をしてしまう。(とみたけ、あおいからの熱い気持ちを取りたくても選ぶことはできず、とみたけとあおいの気持ちが白服を自殺へ追い込んでしまう)
それを知ったとみたけとあおいは後悔してもしきれず自分を責め続ける。これが相手にとっても自分にとっても「最後の恋だと知ってたら」あんな答えは、自分から別れを切り出すなんてすべきでなかったのに。と

「孤独な答え合わせ」
別れを告げたのは自分。それでも白服は最期の時まで自分のことを愛してくれていたのか?それとも出会わなければよかったと憎まれていたのか?結ばれるべきだった人への罪の重さに耐えきれなくなったのか?あの時どう思っていたのか。それならせめて自分といた時間は幸せだと思ってくれていたのか?どうしたら2人で幸せになれた?どうしたら……等々ありとあらゆることが頭の中で渦を巻くけれど、もう本人に直接聞いてその答え合わせをすることはできない。何故なら白服はこの世にはもういないから。引用:「君を連れて行かないでと」


ここまで歌詞を細分化して深読みして見てきたのでここからMVの映像を考察してみる。
この施設は心の檻が具現化されたもので罪を犯した自分は(愛する人を死なせて(殺してしまった)ので心の檻から抜け出せないでいる。ダンスショットでもとみたけとあおいの位置は常に確認できるけれど白服はそこにいるはずなのに存在感がなく、とみたけとあおいを取り巻く他のメンバーの中に溶け込んでいる。当たり前のようにそこにいたのに自分が手を離してしまったら人混みに紛れてこんなにも容易くどこにいるのかわからなくなってしまうということを表している。

白い部屋
白い部屋は死後の世界ではないだろうか?白服に手を伸ばそうとするとみたけ。部屋でのシーンはもう一度白服に会えたのならという願望が視覚化したもの。目の前に会いたかった白服がいるのにこの汚れた手で引き寄せることはできないと伸ばしかけた手が中を彷徨う。白服はそれを見ているのに自分からは何も言わないし少しも動かない。(これはとみたけの見ている幻想だから)

ここで忘れてはいけないのはまずとみたけ、あおいのWセンター曲ということ。つまり基本的に歌詞はこの2人と白服の関係を表しているものとして考察していく。さらに2人の歌割りにも注目したい。
歌割りから推測していくと2人の白服への気持ちがわかる気がする。


ラストの畳み掛けるような
とみたけ「全てを諦めるから」
あおい「早く側に行かせて」
とみたけ「最後の恋と知ってたら」
あおい「もっと上手に愛せたの?」
のパートは2人の考えがよく現れている。どちらも白服への後悔という気持ちは一緒だが違うところがある。それは過去を見ているかこれからのことを考えているかだと思う。

とみたけはこれからの未来を全て捨てることも厭わないから過去に戻ってやり直したいと願っている。「君をもう一度抱けるなら二度と日がのぼらなくていい」「全てを諦めるから」等々はこれからを捨てるのと引き換えにもう一度やり直したいという想いを歌っている。

あおいは白服の味わった苦しみを同じだけ自分に与えてくれていいからそれでも側にいたいと願っている。「罪を洗い流せるならどんな罰でも受け入れよう」「早く側に行かせて」からは自分も後追いしてそちら側へいってしまおうか(死んでしまおうか)という思いすら感じる。

誰かを傷つけても、幸せじゃなくても、このキスの行方を探しにいこうと言い合った2人の迎えた結末がこれだというのはあまりにつらすぎる。誰にも邪魔されない場所を望んでいたはずなのにもうお互いに触れることすら出来ないほど遠く引き離されてしまうなんて。

これもむすめん。時代の楽曲が三曲でテーマが一貫していた時と同じように三部作だとしたらテーマはなんだろうか。悲哀とか禁断とかそれだけじゃないくもっとこう悲しくて苦しいだけじゃなくてそれでも止められない熱みたいなものと覚悟がある感じが今のところ二つの楽曲から感じられる。このキスの行方はどこへ向かうのだろうか。